自主制作の映画を完成させたい
(鳥取県米子市 シネマウォーカーさん 営業 29歳)
私は、大学で映画サークルに所属をしていました。それまでは映画好きが集まっているだけで、何という活動をしているわけではなかったのですが、その年は、私達の代のメンバーで卒業をする前に自主制作で映画を撮影して、学生コンクールに出品しようというアイデアが持ち上がっていました。
元々映画が好きで集まっているメンバーですので、そのアイデアには誰もが賛成で、私達は素人ながら映画を自主制作することにしたのです。
映画は、監督も脚本も、出演もみんな自分達で行い、必要な予算はみんなで決めた金額を出し合って撮影しました。しかし、映画の撮影をすすめていくうちに、予算はあっという間に底をついて、私達の映画制作は、行き詰ってしまったのでした。
コンクールは諦めて、地道に製作をすればいいという意見もありましたが、卒業を控えている私達の代のメンバーはやはりコンクールの出品というところにこだわっていました。なんとしてでも映画は完成させて、コンクールの出品までこぎつけたかったのです。
そこで、みんなで話し合って、私が代表としてお金を借りることにしたのです。借りたお金は、社会人として働き出した後に、メンバー全員で返済する約束をしました。
予算が追加されたことで、予定されていた内容を撮影し、私達はなんとか映画を作り終えました。出品したコンクールでは、賞を取ることもありませんでしたし、お金を借りてまで作っておいてなんだという気持ちも当時はありました。
しかし、今になって考えればあの映画を途中で諦めていたら、きっとずっと後悔することになったと思うのです。あの映画が、私の学生生活を締めくくる、大切な思い出の一ページになっていることは間違いありません。
借りたお金は、約束通りみんなで返済をしました。今ではそれぞれ別々の仕事をしていますが、あの時の仲間たちとは、いまだにあの映画の話しをしながら酒を飲むことがあるくらいの仲でいます。映画が完成していなかったら、きっとこうはならなかったと思います。あの映画も今では大切な思い出です。